歯周病治療
歯周病の重症度に応じて、歯科衛生士が担当制で治療を進めます。
口腔内写真やデンタルレントゲンで詳細に状態を把握し、歯周病歯茎だけでなく全身の健康も考えた指導を行っています。
歯周病は、歯と歯ぐきの境目にたまる汚れによって歯肉が炎症を起こし、進行すると歯を支えるあごの骨まで溶かしてしまう病気です。
初期段階では痛みや自覚症状が少ないため、気づいた頃には進行している場合があります。
進行が進むと歯がグラつき、最悪の場合には自然に抜け落ちてしまうこともあります。
虫歯に並んで歯を失う大きな要因となるため、早期発見・早期治療が大切です。
当院の歯周病治療の特徴
歯科衛生士が担当制
歯周病治療は、継続的に歯石や歯垢(プラーク)を除去して、歯肉やあごの骨を健康な状態に保つことが重要です。
当院では、患者様お一人につき担当の歯科衛生士が付き、毎回同じ衛生士がケアを担当します。
担当衛生士がいることで、日々のお口の変化をきめ細やかに把握し、歯磨き指導や生活習慣のアドバイスを的確に行いやすくなります。
全身写真や身体バランスにも注目
歯周病は、口の中だけではなく全身の状態とも関係しています。
当院では、必要に応じて全身写真を撮影し、姿勢や身体のバランスを見ることもあります。
噛み合わせの問題や癖が歯ぐきに負担をかけているケースもあり、そのような背景まで視野に入れてアプローチしています。
わかりやすく丁寧な説明を心掛ける

検査結果がいくら詳しくても、専門的な用語や数値を並べるだけでは患者様には理解しづらいものです。
当院では、写真や顕微鏡の映像、数値などを組み合わせて、歯周病がどう進行しているのか、なぜ予防や治療が必要なのかをイメージしやすい形でお伝えしています。
歯科衛生士や歯科医師がそれぞれの専門分野から補足し合い、患者様が納得できるまで丁寧にお話しします。検査と説明を大切にするのは、治療を「押し付ける」のではなく、患者様自身が「自分の歯を守るために必要なこと」を理解して取り組んでいただきたいからです。
検査と説明を大切にしています
歯周病は、痛みや腫れなどの明確な自覚症状が少ないまま進行する恐れがあります。
当院では、虫歯などと同様に歯周病を早期発見するため、以下のような機器や検査方法を組み合わせて口腔内の状態を精密にチェックします。
この情報を踏まえ、患者様にわかりやすい言葉で状況や治療方針をお伝えし、納得いただいてから治療に進めるよう心掛けています。
デンタルX線

レントゲンを撮影し、歯とあごの骨の状態を確認します。
歯周病が進行している場合、あごの骨が溶けていたり、歯肉との隙間が大きくなっていたりするのが映し出されます。
この画像をもとに、どの程度進行しているかを客観的に把握できます。
口腔内写真

小型のカメラや専用のミラーを使い、お口の中を写真に収めます。
視覚的に歯茎や歯の表面の状態を記録することで、患者様が自分の歯や歯ぐきの変化を理解しやすくなります。
治療前後の比較も可能で、モチベーション維持にもつながります。
プローブを使った歯周ポケット測定

歯周ポケットの深さを測定するために、プローブという細長い器具を使用します。
歯と歯ぐきの隙間の深さをミリ単位でチェックし、4mm以上の場合には歯周病のリスクが高まっていると考えられます。
何度か検査を重ねることで、治療の進行度や改善具合を数値的に把握できます。
位相差顕微鏡

歯垢(プラーク)を採取し、その中に含まれる細菌の動きを顕微鏡で観察します。
細菌が多いほど歯周病の進行リスクが高まりますが、肉眼では確認できない原因菌や活動状況を、顕微鏡を通して確認できます。
患者様も映像を見ながら説明を受けるため、「自分のお口にどんな細菌がいるのか」を実感しやすい利点があります。
唾液検査(ムーカス)

唾液の量や性質、口腔内の菌のバランスを調べる検査です。
歯周病だけでなく、虫歯や口腔乾燥症など、さまざまなトラブルのリスクを数値で示すことができます。
検査結果を踏まえ、患者様に合ったセルフケア法や生活習慣の見直しを提案しやすくなります。
口腔内カメラ

口の奥や歯周ポケット付近など、肉眼では見にくい部分を撮影するためのカメラです。
歯肉の色の変化や歯石の付着状況をその場でモニターに映し出せるため、患者様が自分の目で確かめられるのが大きな特徴です。
「ここに歯石が残っています」「ここが出血しやすい部分です」といった説明を、映像とともに行います。
エアフロー

歯周ポケットや歯面についた汚れを、細かなパウダーと水の力でやさしく除去する機器です。
強い力をかけずに歯垢(プラーク)や着色を落としやすいので、歯肉への刺激を最小限に抑えながらクリーニングできます。
歯周病予防や、着色が気になる方のケアにも適しています。
歯周病と生活習慣の関係
日頃のケアと生活習慣指導
歯周病は生活習慣病の一種ともいわれています。
頬杖や不適切な寝方、歯ぎしり、ストレスなどが原因で歯列が乱れたり、歯肉に負担がかかったりすることがあります。
歯周病は患者様ご自身のケアが大きく関わる病気なので、当院では筋機能訓練や栄養指導、生活習慣の見直しをサポートし、再発リスクを下げるよう努めています。
糖尿病とも深い関連があります
歯周病は糖尿病と強い相関関係があるとされています。
糖尿病の方が歯周病にかかると、歯周病が治りにくくなったり、血糖値がコントロールし難くなったり、糖尿病を悪化させてしまったりという状況に陥ることもあります。
厚生労働省が実施した平成28年「国民健康・栄養調査」によると「糖尿病が強く疑われる者」は約1,000 万人と推計されています。
歯周病は、年々増加傾向にある生活習慣病です。
当院は「糖尿病協会歯科医師登録医」として、糖尿病のある患者様にも適切な歯周病治療を行い、全身の健康をサポートしています。
歯周病治療の流れ
1:検査・診断
歯科衛生士と歯科医師が連携し、検査結果をわかりやすく説明します。
歯周病の進行度や生活習慣を踏まえ、治療の方針を決定します。
2:歯石・プラークの除去
複数回にわたって少しずつクリーニングを行う場合が多く、歯肉の状態を見ながら施術を進めます。
3:ブラッシング指導・生活習慣の見直し
患者様それぞれの歯並びやライフスタイルに合わせたブラッシング方法やフロスの使い方を指導し、栄養面や姿勢の改善策などもお伝えします。
筋機能訓練を取り入れ、口腔周囲筋を強化することで歯肉の健康を保ちやすくする場合もあります。
4:再評価とメンテナンス
メンテナンスでは、歯周ポケットの状態やブラッシング状況、生活習慣の変化などを総合的にチェックし、再発を防ぎます。
歯科衛生士が担当制でフォローするため、ちょっとした変化にも気づきやすく、早めの対策が可能です。

重症の歯周病治療にも対応しています
再生療法で骨を取り戻す
あごの骨が大きく溶けてしまった場合でも、状況によっては再生療法を行い、骨の回復を促すことができます。
当院では「リグロス」という薬を活用し、保険診療の範囲内であごの骨を再生させる治療を提供しています。
金銭的負担を抑えながら治療できるため、多くの患者様から安心して選んでいただいています。
外科処置も可能
骨が著しく欠損している場合や、歯周ポケットが深く歯石が除去しにくい場合には、外科的な処置が必要です。
院長は国立国際医療センター(現 国立国際医療研究センター病院)の口腔外科で多くの手術に携わってきました。
その経験をもとに、安全性に配慮しながら外科処置を進め、歯肉や骨の回復を目指します。
健康な歯ぐきを取り戻し、維持するために
歯周病は気づかないうちに進行し、歯を失う大きな原因のひとつです。
しかし、適切なケアを続けることで、進行を止めたり防いだりすることが十分可能です。
当院は歯科衛生士や歯科医師が連携し、検査・治療・メンテナンス・生活習慣の見直しまでをトータルでサポートします。
歯ぐきの健康を取り戻し、心から笑顔になれる毎日を一緒に作り上げましょう。
不安や気になる症状がございましたら、遠慮なくご相談ください。
患者様一人ひとりに合わせた治療とサポートを行い、生涯を通じて健康な歯ぐきを維持できるよう尽力いたします。